NHK美の壷「弁当箱」に放送的暴力を感じ意見を伝えました。7月19日でした。

 9月デレクターが一度訪ねてきましたが、10月24日 弁当箱 アンコールとして放送されました。内容は、私と曲げワッパ協同組合はじめ栗久の栗盛俊二さん、そして、現代の名工で黄綬褒章受賞者の佐々木悌治さんの指摘部分を言葉だけ変えたものでした。言葉を変えた理由は語られていませんから、最初から此の内容だといった様子です。

 最初に放送した点を間違いだと明記ありません。また、最初から間違えた知識で作っていますから何度観ても違和感があります。そこで、何がしっくりしないか三点だけ紹介しますと次の様になります。
一つ目は、実に驚いたことに木の性質を間違えた放送内容を指摘された言葉だけ書き換えたところです。お弁当の性質で通気性と言った間違えが、水分の吸収と短絡的に書き換えで、本来の御飯の水分を調節するということが水分の吸収と御飯への加湿という木の組成メカニズムは説明していないことです。
次に御飯の旨味が、お弁当箱の内部でなぜ旨くなるかの解説内容です。最初の放送では、『お弁当箱の通気性でおねばが旨味になる』とありました。でも、おねばって御飯を炊くお釜の中でお米とお水が御飯になる際の途中の話ですよね。この番組では、炊きあがった御飯をお弁当箱に入れたときに御飯が美味しくなる話を聞きたいのでしょう。アンコールでは、『水分を取るからおねばが旨味になる』と、話が不可解になっています。
三つ目は、取材した知識を活用しないままに話しを盛り上げるドラマの小道具の不具合です。おひつを抱えたドラマ仕立てのシーンは現実的でない樽造りのおひつです。木の組成上の訳もありますので、おひつの様に大きいお弁当は曲げ物と言われる曲げワッパの作りのものが自然です。他のお弁当箱の紹介でも樽造りのお弁当箱は出て来ません。日常性のない小道具の使い方でした。

 御飯が美味しくなる訳を、昨年の春NHKの放送では、炊きたての御飯の粗熱をとると御飯の繊維質が増え美味しくなるとありました。この話はしっくり来ました。確かに食べ心地が変わります。NHKの情報は貴重なものが多いのでとても参考になります。わたしの基本知識は、「ケペル先生」「生活の知恵」などNHKの放送です。ですから、今回の教育テレビ放送の「美の壷 弁当箱」はこのままでいいのでしょうか。

あの「あるある大辞典」では、言葉の部分を都合のいい言葉に変えてねつ造番組となりました。イラク戦争の最大の理由に挙げていた 大量破壊兵器の存在がなかった にもかかわらず、アメリカ国民は,ブッシュ大統領の戦争を始める際の演説の内容「大量破壊兵器の存在」をいまだに信じているそうです。放送とかメディアは最初の印象で物事を伝えてしまいます。公共放送の看板のNHKの放送は信じられるものであって欲しいです。
始めの放送内容を払拭するには、繰り返し正しい内容を伝えて欲しいですね。おひつ御飯や曲げわっぱのお弁当御飯が美味しくなる仕組みは、NHKのガッテン的に分析して放送して正しく教えて頂きたいものです。

天然秋田杉が希少な部材で入手が困難になっています。その中でも、職人さんは御飯を美味しく食べて健康にいいものをと「おひつ・お弁当箱」を造っています。来春から材料費の高騰の為に値上げの話もあります。間違った情報の提供には気を付けましょう。どうぞ、皆さんも応援お願い致します。古来より伝わっている常識を覆す放送はどうか止めて頂きたいです。もしするなら気配りのある表現があると思います。


 NHKの件で元丸屋のお客様からメール頂きました。
『初めてわっぱを知る方、見る方、使う方に対して、せめて嘘がなくお伝えしていただけることを、私も祈っています。』

全くその通りです。その事がとても大切な事です。一度解らない事をしたらよく学んで育んで行動して欲しいんです。