私は、伝統的道具を紹介しています。そして、秋田・市民のメディア研究会会員としましても今回放送されたNHK美の壷「弁当箱」に放送的暴力を感じました。

壱のツボにおきまして、
木の通気性をたたえた効果を御飯のおいしさと語っているますが、木の組成に付いて知識のある人の関与があったのでしょうか?

 私の知る限り、木の通気性は論外。問題は、水分をいかに調整するかの保水性・浸透性であります。
ただし、産地の工芸に寄っては、ヒノキ・ヒバやサワラの様に香りが強い素材を生かした木工業者は、春慶塗を考案したりして臭いの問題を解決して美味しいご飯の保存方法を作り出し、地域の人々の食生活を助けています。その伝統工芸者を考慮した表現を美のあり方が和の美しさと心得て頂きたいものだとも感じた次第です。

 美味しいご飯の、おひつ効果は、元丸屋でも紹介しています様に色々あるのであって、今回の編集の様な柴田さんの発言を美の壷と心得よとは短絡的で美しさに欠けています。
なぜなら、柴田さんはシバキ塗りや漆塗りのお弁当箱をこれ迄もお作りになっております。自分の仕事を否定した発言を放送してよしとするとは思えません。
確かに、柴田さんは、元丸屋で紹介する栗久の商品と取り扱い方などことごとく違いがあります。職人ですから自分の信じる所があって素晴らしいと思います。でも、秋田・市民のメディア研究会の会員の私としては、アンフェアな放送は、承認致しかねます。この放送の編集を、柴田さんは承知していたのでしょうか?

 天然秋田杉の柾目の薄い板には、通気性ではなく浸透性です。柾目であるのがその根拠です。反対に酒樽等お水がこぼれない様に、浸透性のない樽作りでは板目を使います。その浸透性によって、御飯の水分調整が行き届き美味しい御飯を作り出します。そこの所が、白木のおひつの美味しさのツボです。勿論、外側をウレタン塗装したお弁当箱にしましても水分調節に問題はなく美味しいおひつ効果が得られています。

また、食文化に詳しい奥村彪生さんと紹介されてますが、栗久さんに聞きましたら、大阪の料理人さんだそうですね。
木の通気性に詳しい訳でもありません。それなのにアニメの紹介画面であたかも正しい様な説明がなされています。木の組成を説明なく、結論の通気性を正論と刷り込む話につじつまを合わせたもので、話を作り上げた誤報番組になっております。

奥村彪生さんの外気の説明は、酢飯を作る際の飯切りで御飯がおいしくなる理屈の説明であったのではないでしょうか。

この問題点は、先程、NHKにご意見・ご感想送信させて頂きました。ご返事頂けるといいのですが。